とはいえ私は電子回路のことを詳しく理解していないので手法については初級者レベル.オーディオ好きの手遊び記事と断言しておきます.
まえおき
若かりしころ愛用していたCDプレイヤーはPhilipsのLHH600Bで,TDA1547(DAC7)をダブルディファレンシャルで使ったモデル.現代的なHiFiとは違ってナローレンジで低域に独特の押し出しがあり,柔らかくてふくよかだけれどもどこか芯がある,そんな感想を私は持っている.
ザ・ビートルズなんか聴くと,ポールのベースは楽しそうに唄い,リンゴのドラムはスタジオの奥でスティックを振り楽器を鳴らしているように感じられ…といったら言い過ぎかもしれないがそういう箱庭のような面白みが感じられ魅力的に思えた.
そんな愛機もリッピング音源全盛になった昨今では出番がなくなり,DACモジュールだけ独立して動かせないか?などと考えてはみたのだが回路技術がないのであきらめ,整備して他の方にお譲りしてしまった.
しかし時々LHHの音が懐かしく思われ,ついついTDA1547のDACボードを入手してしまったわけです.DACチップだけで音が決まる訳じゃないとは知りつつ.
そのDAC7基板で組んでみたDACの姿.
入力はCOAXのみ使用.仕様上48kHz/24bitまでだがリッピング音源を聴くには充分だ.
電源トランスはデジタルとアナログを別にして筐体に入るぎりぎりの80VAを奮発.
DAC基板はアナログ変換以降の音声信号経路には抵抗をVishayのVAR,コンデンサをスチコンに換装と,やぶれかぶれの大奮発.
最終のDC阻止カップリングコンは悩んだ末にVishayのチップタンタルコンを選定.
I/V変換とLPFを担当するオペアンプはデフォルトの5532から色々試聴したあげくNJM4558という最も渋い選択となった.OPA627やTLE2072やMUSES01とかも試してはみたが4558の音が一番それっぽかったから.
(ちなみにLHH600Bではシグネティックス製の5534が使われていた)
そこで基板の半田面にフィルムコン(PPS)追加実装したのが下の写真.
オペアンプとDACのアナログ電源供給には本来あるべき0.1uFを実装.
各電源レギュレータの入力側にも念のため0.1uF.
整流ダイオードには0.01uFをパラに入れてスイッチングノイズ低減(のつもり).
整流ダイオードに0.01uFというのはLHH600Bで使われていた技のものまねだ.
なお電源回路では,TDA1547への-5V供給がオペアンプ用電源の-15Vラインから減圧しているので,そこのレギュレータだけものすごく熱くなるという罠.やっつけ仕事かよ!
そのため実際の運用ではアルミの放熱フィンをかませて放熱を補っている.それが下の写真.黒いのはシールドケースではなくて,放熱器なのです.
筐体は市販品のDACのものを流用.(ランプ・スイッチは何も機能していない)
サイズ感もデザインも,とてもいい筐体だと思う.
(元の中身はどうしたかというと,手遊びが過ぎてお陀仏にしてしまった)
肝心の音だが,目指していたLHH600Bの雰囲気は出せていない.
というかチューニングの途中から本来の目標を忘れて気持ちいい音の追求になってしまっていた.笑
音楽を聴いていて心地いいかどうかでしか判断できないので.耳良くないし.
おそらく透明度や音の密度ではLHHを超えていると思う.いいパーツ使ったから当たり前か.
ちなみにデジタルソースは,MacのAudirvana Plus 2.6.8を使い,CDリッピングした音源を24bitにアップしてUSB-DDC経由でCoaxに送っているから,この部分だけでもアドバンテージはありありだ.(ではDACの実力はどうなのだ)
というわけで今回の記事は趣味の工作は楽しいという結論につきる.
今後もおそらくチューニングは続くと思う.そうやって遊べるのがキットの良いところだから.
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