2013年3月23日土曜日

映画「先祖になる」

花見がてら渋谷のシアターイメージフォーラムで観てきました.


木こりの端くれとしては,ベテラン直志さんの伐木シーンに見入ってしまいました.

・受け口を切る際に 斜め切り → 下切り の順で行っていたこと.
この手順は小田桐師範の本でも紹介されていた方法ですね.
あとから下切りをしたほうが鋸道を合わせやすいということです.

・受け口を作ってから伐倒方向を丹念に確認していたこと.
木を背にし伐倒方向を向いて立つ → 足を受け口の幅に開く → 前屈して股越しに受け口を見て体の方向が合っているか確認 → 徐々に姿勢を直立へと戻していきつつ伐倒方向に障害物が無いか目視確認
確認したのち受け口の微調整をしていました.株もとの少しの差が木の先端では大きな差になるということでしょうね.

・伐った株で神事を行っていたこと.
株に木の先端(うらっぺ)を挿して塩とお神酒で感謝の儀式を行っていた.
伐ったままではなく新しい苗を植えて山にお返しするんだと言っていました.

身のこなしの軽さはかなりのもの.木登りも普通にしてましたし.
若い頃から仕事で鍛えた賜物だろうなと思います.

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映画について.
震災の映画というよりも,困難な状況に陥ったとき人はどう行動するのかを淡々と記録した映像と思います.
監督が色付けをせずこの映画を作ったということなのでしょう.
直志さんが主人公という設定ではあるけれど,彼のようにすべきであるという押し付けは感じられない.

土地に根ざして生きるということ.日本人の宗教観(自然崇敬).
悲劇に見舞われてもユーモアを忘れずに生きるということ.

考えさせられる場面はいくつもあって,観る人それぞれの裁量でさまざまな解釈のできる作品と思います.
おすすめいたします.


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